福島正実『未踏の時代』

未踏の時代 (日本SFを築いた男の回想録) (ハヤカワ文庫JA)

未踏の時代 (日本SFを築いた男の回想録) (ハヤカワ文庫JA)

創刊50周年を迎えたハヤカワの「SFマガジン」。その初代編集長による回顧録。これを「SFマガジン」に連載中だった1976年に亡くなったため、未完のままになっている。
これを読むと、ほんの数十年前まで、日本でのSFは完全に日陰の存在だったことが分かる。SFの普及のために懸命だった人とその時代が描かれている。こういう人たちがいたからこそ、現代のSFがあると言っても過言ではないだろう。都筑道夫、生島次郎、常盤新平、そして福島正実がいた早川書房編集部、いやあ凄い。
当然ながら、多くの著名SF作家も登場する(写真も挿入されているが、みんな若いこと若いこと!)。かなり熱い人だったようで、新聞などのSF批判記事には真っ向から食ってかかっており、そのあたりのスリルも堪能できる。