田中克彦『エスペラント』

エスペラント―異端の言語 (岩波新書)

エスペラント―異端の言語 (岩波新書)

世界共通語を目指して人工的に作られた言語エスペラント。その文法の概要から、成立の歴史、エスペラントへの批判や対立言語、日本やアジアでの広がり方まで、全体的に広く浅くまとめており、現代の日本人には馴染みが薄い謎の言語の魅力の一端が伺える。
文法には「例外がひとつもない」明確性は素晴らしいと思う。
大本教公用語にしていてエスペラントで書かれた雑誌を発行していること、『広辞苑』の新村出エスペラント運動に関わっていたことなど、意外な事実も多かった。明らかにヨーロッパ系の言語なのに、日本や中国といったアジアで受け入れられていた(る)ことも驚きである。