エリヤフ・ゴールドラット『ザ・クリスタルボール』

ザ・クリスタルボール

ザ・クリスタルボール

ビジネス書。『ザ・ゴール』シリーズの最新刊。水漏れによって在庫を大幅に落とさざるを得なくなってしまった店舗が、逆にそれをきっかけに「在庫管理」の重要性に気付き、「在庫を落としながらも利益を上げる店」にしていく、という話。
店舗の在庫は最小限(この物語では「二十日分の在庫」)にして、ある程度売れた時点で近場にある倉庫からすぐ取り寄せる、というシステムを作り上げる。要は、日本のコンビニみたいなPOS管理&発注システムが理想、ということか。
出版業界なら「自動発注システム」がこれに近いか。
後半では書店チェーンの倉庫在庫管理もチラッと出てくるが、まんまアマゾンの倉庫みたいな話だった。店舗ごとだと確かに最小限だけど、倉庫在庫はどうなんの、と思った。


というわけで、システムとしては日本では既にある形であり特に目新しくないものの、そのシステムを作り上げるためのチームワークや在庫の基準などでは、学ぶ点のある本だったと思う。


ここ数年、書店業界は「とにかくデカい店」がどんどん出店する風潮だったが、これからは「広くないけれど個性的で面白い店」へシフトしていくんじゃないかなあ、という思いがある。お客さんの欲しい本がそこになくても、近くにあるデカい支店から移動してもらえればいいわけだし。
そういう店を作っていきたいものである。