夏川草介『神様のカルテ』

神様のカルテ

神様のカルテ

本屋大賞ノミネート読み潰し、その1。
なんか「感動する小説」らしい、という認識だったので、ちょっと斜に構えて読み始めたが、意外と良かった。森見登美彦風の古風な文体は「漱石を敬愛している」という主人公の設定だそうだが、ギャグみたいな語り口でありながらも惹きつけられる。人の死にまつわるエピソードが語られるが、特に劇的というわけでもなく、むしろ淡々と描かれ、しかしだからこそ、感動する。
唯一惜しいのは、帯文。「この病院では、奇蹟が起きる」――ん、あんまり起きてないような……。