恩藏茂『FM雑誌と僕らの80年代』

FM雑誌と僕らの80年代--『FMステーション』青春記

FM雑誌と僕らの80年代--『FMステーション』青春記

かつて「FM誌」という雑誌のジャンルがあった。FM局の番組表に、番組内で紹介される楽曲のリストが掲載され、リスナーはそれを元にカセットテープに録音(「エアチェック」)していた。「FMfan」「週刊FM」「FMレコパル」の三誌があったところに新規参入したのが、著者が編集長を努めた「FMステーション」である。FMステーションの、ひいてはFM誌の栄枯盛衰を当事者が回顧したノンフィクション。
FM誌のみならず、録音するハード、あるいはカセットテープの歴史にも言及されており、資料としても興味深い。FM誌が衰退した原因は、「CDの出現」「レコード(CD)レンタル店の広がり」のほか、民放FM曲が続々と開局したことで誌面の編成に苦労するようになったことと、「J−WAVE」のように、事前に楽曲を教えてくれなくなったことも挙げられる。
「です・ます」調と「だ・である」調が時折混在していて、やや読み難いのが欠点。