我孫子武丸『さよならのためだけに』
- 作者: 我孫子武丸
- 出版社/メーカー: 徳間書店
- 発売日: 2010/03/18
- メディア: 単行本
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これは傑作。非ミステリである。
近未来、離婚率の減少や晩婚化対策として、結婚仲介会社「PM社」が作られ、全ての国民は結婚相手をPM社による「マッチング」で決められていたそこで最高ランクの「特A」と判断されて結婚した水元と月(ルナ)だったが、ハネムーンから帰国後、二人の間に全く愛情がないことを確認。離婚を決断する。しかし、特Aのカップルが離婚などということはあり得ない。さらに水元はPM社の社員だった。かくして、二人の「離婚するための戦い」が始まる。
設定の勝利でもあるが、最後まで引っ張るストーリーテリング。特に後半の、PM社のボス「サイゾー」が登場するあたりからは我孫子節全開。あの『弥勒の掌』のクライマックスに通ずる面白さなのだ。
最後はやや予想通りな感じだったが、それも含めて、面白かった。