中島京子『女中譚』

女中譚

秋葉原のメイド喫茶に一人で入り、誰にともなく淡々と自分語りを始める老婆。自らが「女中」だった頃の体験譚。
林芙美子、吉屋信子、永井荷風へのオマージュと、それぞれの物語世界、そして、現在の秋葉原の空気との絶妙な対比。一人の女性の、美しさと哀しさ、そして空恐ろしさまで感じさせる物語集だ。いやはや、すごいものを読んでしまった。