2015年になりましたので、2014年の読書メーターまとめを貼り付けます。
2014年は個人的には、米澤さんの『満願』が断トツだった年、そして連城三紀彦さんの再評価の年だったと思ってます。連城さんの再評価は2015年も続けていきますよ。



2014年の読書メーター
読んだ本の数:104冊
読んだページ数:29214ページ
ナイス数:1312ナイス

僕だけがいない街 (5) (カドカワコミックス・エース)僕だけがいない街 (5) (カドカワコミックス・エース)感想
本来の歴史とは違った形で進行しながら、ついに真犯人が判明。そう来るか! そしてそこで終わるのか! うーん、この段階ではこれ以上書けない。
読了日:12月30日 著者:三部けい
爆笑問題 田中のオトナスコラ (スコラムック)爆笑問題 田中のオトナスコラ (スコラムック)感想
爆笑問題・田中があくまでも個人的な思い出を中心に、昭和50年代を懐かしむコンセプトのムック。メインは吉田豪とのプレイバック対談で、同世代としてはめちゃくちゃ懐かしいが、活字を小さくすればもっと情報入れられたのでは?と思ってしまう(クイックジャパンほどとは言わないが)。本書最大の功績は、HKT48宮脇咲良に昭和50年代風のグラビアを撮らせたことかも知れない。
読了日:12月30日 著者:
教団X教団X感想
ものすごいパワーに溢れた作品であることは間違いない。描写・物語・作品世界、全てが圧倒的である。
読了日:12月29日 著者:中村文則
進化とは何か:ドーキンス博士の特別講義 (ハヤカワ・ポピュラー・サイエンス)進化とは何か:ドーキンス博士の特別講義 (ハヤカワ・ポピュラー・サイエンス)感想
利己的な遺伝子』のドーキンス博士が学生向けに講義した進化の授業のテキスト化。写真も多くて分かりやすく、面白い。『銀河ヒッチハイク・ガイド』のダグラス・アダムスも登場して作品の朗読まであったりする。この公演を映像で観てみたいものである。
読了日:12月27日 著者:リチャードドーキンス
一度は読んでほしい 小さな出版社のおもしろい本 (SAN-EI MOOK 男の隠れ家教養シリーズ)一度は読んでほしい 小さな出版社のおもしろい本 (SAN-EI MOOK 男の隠れ家教養シリーズ)
読了日:12月26日 著者:
聲の形(7)<完> (講談社コミックス)聲の形(7)<完> (講談社コミックス)感想
1巻の時点でこんな展開になるとは予想つかなかった。ラストシーンには、ある意味ホッとした。変に長くなりすぎず、7巻で完結させたことも評価したい。
読了日:12月26日 著者:大今良時
アールダーの方舟アールダーの方舟感想
ノアの方舟の謎をメインにした歴史ミステリだが、連続殺人の謎もあってその真相も意外性充分。蘊蓄もふんだんに盛り込まれており、実際の分量以上の大作を読んだ感じがする。オススメです。
読了日:12月26日 著者:周木律
人類が知っていることすべての短い歴史(下) (新潮文庫)人類が知っていることすべての短い歴史(下) (新潮文庫)感想
学生時代に学ぶ理科(物理・化学・生物・地学)の基本を人類はいかにして発見してきたか、の歴史。全体的に「広く浅く」なので、難しい話も少なく、楽しく読み進めることができた。本書の翻訳者・楡井さんは東江一紀さんの別名義だったことは、成毛眞さんの解説で初めて知った。読み易いのも納得である。
読了日:12月19日 著者:ビルブライソン
人類が知っていることすべての短い歴史(上) (新潮文庫)人類が知っていることすべての短い歴史(上) (新潮文庫)
読了日:12月19日 著者:ビルブライソン
広告20世紀 広告批評アーカイブ広告20世紀 広告批評アーカイブ感想
かつての「広告批評」から20世紀を総括した号をまとめた本。20世紀は広告が社会を動かした時代だったのだと改めて分かる。
読了日:12月19日 著者:
仮面病棟 (実業之日本社文庫)仮面病棟 (実業之日本社文庫)感想
冒頭からラストまでノンストップで読み進められるサスペンス。専門家だけあって、医療関連の描写にはリアリティがあり、こういう療養型病院も実際にあったりするのでは、と思わせる。その真相も含めたどんでん返しも良くできている。全般的に盛り込み過ぎな感もあるが、文庫書き下ろしでこれだけ楽しませてくれれば満足だ。
読了日:12月11日 著者:知念実希人
キャプテンサンダーボルトキャプテンサンダーボルト感想
大傑作だ! 阿部和重伊坂幸太郎、二人の個性とエンタメ魂がぶつかり合った作品。関係なさそうな様々なプロット・伏線が組み合わさってからのノンストップな展開が楽しく、ハラハラさせながら最後の爽快感まで、もう最高の一言に尽きる。みんな読むべし。
読了日:11月29日 著者:阿部和重,伊坂幸太郎
ポアンカレ予想 (新潮文庫)ポアンカレ予想 (新潮文庫)感想
問題そのものが難解な「ポアンカレ予想」を分かりやすく解説……というほど分かりやすくもなかったが、ユークリッド以来の数学の歴史も振り返っており、読み応えのある作品だった。
読了日:11月29日 著者:ドナルオシア
さよなら神様さよなら神様感想
いかにも麻耶さんらしい捻くれっぷりが全編に溢れた短編集。冒頭1行目で真犯人の名前を告げる神様探偵・鈴木と、そのご信託に翻弄される少年探偵たち。本格ミステリとしての完成度は「バレンタイン昔語り」が断トツですごく、これはミステリ短編の歴史に残ると思う。『さよなら神様』のタイトルの意味が明かされるラストも唸った。年間ベスト級なのは間違いないが、麻耶さんの作風を知らない人に受け入れられるかどうかは微妙かも。
読了日:11月26日 著者:麻耶雄嵩
焼け跡のユディトへ焼け跡のユディトへ感想
事件の動機設定に時代背景や舞台が呉であることが活かされており、意外性もあってとても感心させられた。ただ、そこに到達するまでの物語の惹き付け力にはまだ問題があり、中盤まではひたすら読み辛いのが残念。アクの強い文章力が備わってくれば面白い小説を世に出してくれそうなので期待したい。
読了日:11月25日 著者:川辺純可
8時15分8時15分感想
父親の原爆体験を元に文章化した作品。原爆については様々な資料でそれなりに分かっていたつもりだったが、想像を遥かに越える壮絶な現実には言葉を失う。ただ、後ろ向きな気持ちで終わらせておらず、「許す心」をキーワードに、未来に向けたメッセージになっている。読み応えのある作品だった。
読了日:11月24日 著者:美甘章子
ドミトリーともきんすドミトリーともきんす感想
これも「ライムスター宇田丸のウイークエンド・シャッフル」の推薦図書特集で気になった作品。お恥ずかしながら、初・高野文子である。日本を代表する科学者そして文筆家でもあった朝永振一郎牧野富太郎中谷宇吉郎湯川秀樹の研究内容と著作を紹介していく漫画。4人が同じ学生寮「ドミトリーともきんす」にいるという設定。ほんのさわりしか紹介してないのに、それぞれの著書を読みたくなる面白さ。とも子さんの語り口、きん子のキャラクターも絶妙で、何故か何度も読み返したくなる。凄い漫画です。
読了日:11月19日 著者:高野文子
聲の形(6) (講談社コミックス)聲の形(6) (講談社コミックス)感想
西宮を救ったことで将也が大変な状態になったまま進行する巻。主役不在の間にサブキャラクターたちの立ち位置、心情をフィーチャーした感じ。次の7巻が完結になるので、どう収束させるか気になる。
読了日:11月19日 著者:大今良時
聲の形(5) (講談社コミックス)聲の形(5) (講談社コミックス)感想
完結&アニメ化決定記念で積読していた5巻を読んだ。この漫画本来のテーマである「いじめ」の話が、母校の小学校を訪れることをきっかけに再燃する巻。私は将也とは違う立場だったので心情を理解するのは難しいが、かつていじめていた側の人間は、その頃のトラウマを残したまま大人になっても生きていくものなのだろうか。それはそれで辛いと思う。
読了日:11月19日 著者:大今良時
あなたは今、この文章を読んでいる。:パラフィクションの誕生あなたは今、この文章を読んでいる。:パラフィクションの誕生
読了日:11月19日 著者:佐々木敦
あなたは今、この文章を読んでいる。:パラフィクションの誕生あなたは今、この文章を読んでいる。:パラフィクションの誕生感想
メタフィクション」を本格的に論じた本。やや難解な部分もあったが、竹本健治舞城王太郎円城塔など馴染みの作品が採り上げられているので興味深く読めた。そして筒井康隆の凄さ、特に『虚人たち』の前衛ぶりに改めて感嘆した。
読了日:11月19日 著者:佐々木敦
子どもを本嫌いにしない本子どもを本嫌いにしない本感想
「ライムスター宇多丸のウイークエンド・シャッフル」の放課後ポッドキャスト(推薦図書特集)で知って、気になって読んでみた。赤ちゃんから成長していく子どもたちに、どういう本を読ませていくといいか、分かりやすく解説されている。子どもを持つ親、読み聞かせする人に最適。「ハリポタ時代の本は40代の人のための本になってしまった」「ボカロ小説ブームはまだ数年続く」などの指摘もさらっとあって面白い。後半は本の基礎知識編。
読了日:11月19日 著者:赤木かん子
重版出来! 4 (ビッグコミックス)重版出来! 4 (ビッグコミックス)感想
作者、出版社、それぞれの苦悩を描いた巻。こんな産みの苦しみを経て出版されている本を我々は読んでいるんだ、という思いを新たにした。
読了日:11月19日 著者:松田奈緒子
俺物語!! 7 (マーガレットコミックス)俺物語!! 7 (マーガレットコミックス)感想
7巻は「猛男、ゆきかちゃんの砂川への想いをサポートする」の巻。猛男のような純粋真っ直ぐ男がみんなのそばにいれば、恋愛のごたごたとか全部解決しそうだよね。まあ、簡単に話がまとまるとは限らないのもまた恋愛模様なんだけれども。
読了日:11月19日 著者:アルコ
連城三紀彦 レジェンド 傑作ミステリー集 (講談社文庫)連城三紀彦 レジェンド 傑作ミステリー集 (講談社文庫)感想
まさに伝説と呼べる、連城三紀彦アンソロジー。四人の選者の推薦コメントも素晴らしいが、やはり実作の凄さは筆舌に尽くしがたい。何度読んでも騙され、何度読んでも文章の巧さに唸り、それぞれの恋愛模様に酔いしれる。今回初読の作品もあったが(「眼の中の現場」「母の手紙」)、やはり凄いと感動した。巻末の綾辻行人×伊坂幸太郎の対談もめちゃくちゃ面白い(伊坂さんがこんなにも連城愛に溢れた人だったなんて!)。まだ連城未経験の人には入門としてお薦めだが、正直、羨ましい。本書クラスの作品がまだゴロゴロ転がっているのだから。
読了日:11月16日 著者:連城三紀彦
みんなの少年探偵団 (一般書)みんなの少年探偵団 (一般書)感想
5人の人気作家による、少年探偵団シリーズのオマージュアンソロジー。それぞれ文章の端々から、少年探偵団が、怪人二十面相が好きなんだなあと感じさせてくれる。どれも楽しいが、個人的には藤谷治さんの「解散二十面相」のパロディぶり、メタな雰囲気が楽しすぎて爆笑してしまった。このプロジェクトは今後も続くようなので楽しみである。
読了日:11月11日 著者:万城目学,湊かなえ,小路幸也,向井湘吾,藤谷治
論文捏造はなぜ起きたのか? (光文社新書)論文捏造はなぜ起きたのか? (光文社新書)
読了日:11月9日 著者:杉晴夫
(046)「本が売れない」というけれど (ポプラ新書)(046)「本が売れない」というけれど (ポプラ新書)感想
プロローグの本屋大賞の話やランキング依存の話から始まって、メガストア化やアマゾン・ブックオフの台頭、電子書籍まで、出版界の今までの流れを端的に振り返っている。ビレバンやスタンダードブックストア、B&B、長崎書店などに今後の書店の可能性を見出しているが、業界そのものの抜本的な解決にはならないだろう。本の未来についてはまだまだ考えていくことがたくさんあるのだろうと思う。
読了日:11月9日 著者:永江朗
女王女王感想
連城三紀彦最後の長編は、邪馬台国の謎をメインに、輪廻転生や男女の情愛を描いた、連城さんの集大成のような大作だった。邪馬台国についてはいくつか斬新な解釈があったが、欲を言えばもっと突き詰めて欲しかったところ。冒頭から現れる謎が奇想すぎてどう収拾をつけるのか不安だったが、この処理は見事だった。様々な人間ドラマと歴史のロマンを堪能。もうこんな作品が読めないのが残念でならない。
読了日:11月6日 著者:連城三紀彦
フライプレイ!: 監棺館殺人事件 (ミステリー・リーグ)フライプレイ!: 監棺館殺人事件 (ミステリー・リーグ)感想
凡庸なプロセスで愛人を殺してしまったミステリ作家を前にして、「ミステリ作家らしい殺し方にせねば」と勝手に見立てを盛っていく編集者、という冒頭のアイデアだけでも充分面白いのに、そこからどんどん話が転がっていって、読む方もいささか唖然呆然(褒めてます)。メタミステリの楽しさ全開で、三谷幸喜が舞台化したら相当面白くなると思う。あまりにも変な方向に転がりすぎるので、真相など最早どうだっていい、という気持ちになってしまうのも確かなのだが、エンタメとして実に楽しい作品だ。
読了日:10月30日 著者:霞流一
やっぱり本屋はおもしろい! ! (洋泉社MOOK)やっぱり本屋はおもしろい! ! (洋泉社MOOK)感想
本屋を特集した雑誌や本は近年やや飽和気味で、どの特集も同じ書店ばかり採り上げられているものである。本書もそんな類のひとつ、と括るのは簡単だが、切り口が新鮮だったり、初めて紹介される本屋もあって面白かった。執筆陣も豪華なので安心して読める。新たな書店ガイドとしてお薦めだ。
読了日:10月30日 著者:
ずっとあなたが好きでしたずっとあなたが好きでした感想
表題作の「最後の一撃」の衝撃が強すぎて、その後は面白いけれどミステリ的にはムラがあって微妙かな、と思っていたら!! いやさすが、参りました。『葉桜の季節に君を想うということ』の歌野さんらしい短編集。ただ驚かせて終わり、じゃなくて、その後の物語でなんとも言えない感動が残る。個人的には今年のベストミステリ級。こういう作品こそもっと読まれて欲しい。「歌野印」に間違いはないぞ!
読了日:10月21日 著者:歌野晶午
BハナブサへようこそBハナブサへようこそ感想
ビリヤード場に持ち込まれる事件を解決する安楽椅子探偵もの。スタイルは非常にいいし、ビリヤード用語と事件を結び付けるアイデアは面白く、すんなり読める。ただミステリ的には意外性に欠けていたり、ベタなトリックもあって物足りなさも残る。あえて言うなら、「マスワリ」には感心させられた。
読了日:10月21日 著者:内山純
絶叫絶叫感想
これは傑作。冒頭で凄惨な遺体となって見つかる女性の、そこに至るまでの人生をものの見事に描ききっている。どんどん悪い方向へ転がり落ちていくのに、不思議とその女性に感情移入しながら読んでしまうのだ。ダークサイドに落ちる、とはこういうことを言うのだろう。ラストの「仕掛け」の効果については疑問も残るが、ドラマ性の高い犯罪小説として実に読み応えのある作品だ。
読了日:10月19日 著者:葉真中顕
処刑までの十章処刑までの十章感想
行方不明になった男を追う弟と、彼を翻弄する妻との禁断の愛。謎の時刻が書かれた差出人不明の絵葉書。四国で起こる火災とバラバラ死体の関連は……いかにも連城さんらしいロマン性と、風景をいとも簡単にひっくり返す技巧が注ぎ込まれて楽しめるが、着地点やや唐突な気がするのがちょっと消化不良。こういう雰囲気や文章がもう楽しめないのは残念、という、一ファン的な感想も抱いてしまう。
読了日:10月15日 著者:連城三紀彦
サンリオSF文庫総解説サンリオSF文庫総解説感想
今は亡き文庫レーベルの全作品レビュー。私も気がついた時にはもう新刊書店にはなくて、古本屋でやたら高値がついていたことしか知らないのだが、こういう志のあった出版事業の全貌を知れることだけでも意義深いし、今こういう本を出せるのは本の雑誌社しかないだろう。ほんと、いい仕事してます。
読了日:10月7日 著者:
矢澤潤二の微妙な陰謀矢澤潤二の微妙な陰謀感想
トンデモのガジェットを思い切り詰め込んだ、でも結局は何も残るものがない、文字通り微妙な連作短編集。こういう説に夢中になってた頃が懐かしいなあとか思いながら読んだ。息抜きに最適(褒めてます)。
読了日:10月7日 著者:秋梨惟喬
大癋見(おおべしみ)警部の事件簿大癋見(おおべしみ)警部の事件簿感想
本格ミステリという特殊な「村」のルールを徹底的に茶化した、でもその中から本格への愛も(たぶん)感じられる作品集。同趣向の偉大なる先例『名探偵の掟』(東野圭吾)に較べるとどうしても小粒感は否めないが、気軽に読めて笑えるので充分楽しめた。ちゃんと使えば長編が書けそうなアイデアを惜しげもなく投入しているのも好感持てる。
読了日:10月7日 著者:深水黎一郎
日本ミステリー小説史 - 黒岩涙香から松本清張へ (中公新書)日本ミステリー小説史 - 黒岩涙香から松本清張へ (中公新書)感想
ミステリ小説と作家の歴史をまとめているが、ミステリが流行ることになる土台・土壌がいかに作られていったかに重きを置いているのが興味深い。清張・仁木悦子の時代までしか書かれていないので、小説史としてはやや物足りないが、初期ミステリ作家たちのエピソードは非常に面白い。一部作品(有名作品ばかりだが)のネタバレもあるので注意。
読了日:10月7日 著者:堀啓子
屋上と、犬と、ぼくたちと屋上と、犬と、ぼくたちと感想
今年の「福ミス」優秀作のひとつ。舞台の「秋葉ビル」は旧・繊維ビル、「ガスパ」は「キャスパ」がネーミングの由来になっており(位置関係は違って、旧「ニチイ」の場所になる)、福山駅前がモデルになっていることは福山市民ならすぐ分かる。繊維ビルへの特別な郷愁も感じさせる作品だ。島田荘司の選評の通り、テンポよく読み進められるのが長所だが、ミステリ的にはやや物足りなさが残る。「店長」の絡み方には感心させられた。
読了日:9月30日 著者:若月香
新幹線50年の時刻表 下巻―JR編 1987ー2014 (トラベルムック)新幹線50年の時刻表 下巻―JR編 1987ー2014 (トラベルムック)感想
新幹線の時刻表の歴史後編はJRに変わってから。山形・秋田・東北・長野・九州と延びていく様子が分かるのと、「のぞみ」投入で格段に早くなっていったことが伺える。
読了日:9月30日 著者:
新幹線50年の時刻表・上巻 国鉄編1964-87〜時刻表でふりかえる新幹線のあゆみ〜(トラベルMOOK)新幹線50年の時刻表・上巻 国鉄編1964-87〜時刻表でふりかえる新幹線のあゆみ〜(トラベルMOOK)感想
時刻表マニアとして、昔の新幹線の時刻表を収めたこのシリーズはただ見てるだけでも楽しい。新幹線が走る前の在来線の時刻表もあるのが親切設計だ。小学校の修学旅行は「こだま」号だったんだよなあとか思い出される。あと、2階建新幹線とかあったなあ。乗ったことはないけど。
読了日:9月30日 著者:
「役に立たない」と思う本こそ買え「役に立たない」と思う本こそ買え感想
お天気キャスターの森田さんが自らの読書遍歴やエピソードを紹介しながら、読書が得るものの大きさを説いた本。出版業界人ではない人が、本が売れない現実を嘆き、読書の必要性を訴え、リアル書店の意義を唱えているのが非常に興味深い。序章「本は、〈買う〉ことに意味がある」は出版関係者にとっても必読である。
読了日:9月16日 著者:森田正光
日本推理小説論争史日本推理小説論争史感想
「小説推理」連載時に読み、単行本でも拾い読みしていたが、改めて通して読んでみた。外野の人からすれば、細かいことなどどうでもよさそうに見えるが、当事者&ファンにとっては、時に感情的になるほど議論・論争したくなるのが、推理小説という文芸の最大の特徴であり魅力なのだと改めて感じた。乱歩vs.木々の探偵小説芸術論争から、佐野vs.都筑の名探偵論争、「このミス」匿名座談会vs.笠井潔など、有名な事件の顛末をまとめた好著。高木彬光の『邪馬台国の秘密』を巡る論争が予想外の広がりを見せてて特に面白かった。
読了日:9月16日 著者:郷原宏
群青のタンデム群青のタンデム感想
傑作。警察小説の新たなる名手、長岡弘樹の最新作。それぞれの短編ともにミステリ度が高く驚かされるが、ただの連作ではなく、長いスパンの物語になっており、大河小説的な要素もある。立場が変わっていき、時には事件に巻き込まれながら、登場人物たちの数十年間の成長を描いているが、本書の本当の読みどころはラストかも知れない。今までの物語の様相そのものが大きく変わるのだ。深い余韻と割り切れない思いが残る作品だ。
読了日:9月12日 著者:長岡弘樹
ベスト珍書 - このヘンな本がすごい! (中公新書ラクレ)ベスト珍書 - このヘンな本がすごい! (中公新書ラクレ)感想
こういう本大好きです。いわゆる“トンデモ本”とはまた違う、誰が買うんだ!?・誰が読むんだ!? 的な妙なコンセプトの本をきちんと読んだ上でタイプに分け、寸評を加えている。対象がものすごくニッチな本ばかりだが、マニア的興味も湧いてきて、逆に読みたくなる本も多い。「げげっ、こんな本あるのかよ、でも読んでみたい」と思わせてくれるだけで、本書の勝利である。
読了日:9月12日 著者:ハマザキカク
幻肢幻肢感想
島田荘司が近年テーマに置いていた「脳」の謎を主軸に、ミステリと恋愛小説を融合させた作品。幻肢ってそういうことだったか。物語がやや予定調和すぎるかなあとは思ったが、ページを繰る手がもどかしいほど一気に読ませる文章の力(巧さとかいう以上に、文章から滲み出る熱量)が凄い。島田荘司にしか書けない恋愛ミステリであろう。
読了日:9月4日 著者:島田荘司
波上館の犯罪 (講談社ノベルス)波上館の犯罪 (講談社ノベルス)感想
著者が「バカミスではない」と断っているが、やっぱり、クラニー先生なにやってんすかシリーズに分類せざるを得ない。著者が追求してきた、文章そのものをトリックにするパターンの究極とも言える。だから回りくどい言い回しが多かったんだな。文庫化も不可能で、コストパフォーマンスが著しく悪いのだが、世の中にはこんなことに熱心になって、それを実現させている作家がいるのだということは、もっと知られるべきだと思う。
読了日:8月28日 著者:倉阪鬼一郎
闇に香る嘘闇に香る嘘感想
主人公が盲目であることで襲ってくる不安や緊迫感の描写が実に素晴らしい。帰国した中国残留孤児の兄は本物なのか、の謎の設定もいい。点字の俳句は盛り込みすぎかなあとか、中盤がB級サスペンスっぽくなっちゃうところとか、気になる部分もあるけど、真相の意外性と伏線の回収ぶり、そしてなによりも、これがデビュー作とは思えない深みのある文章力、ストーリーテリングに圧倒された。乱歩賞は60周年に相応しい傑作を世に送り出した。
読了日:8月20日 著者:下村敦史
逆転力 ~ピンチを待て~ (講談社 Mook)逆転力 ~ピンチを待て~ (講談社 Mook)感想
何度も逆境を逆手に取って這い上がって来た指原の発言だからこそ重みがある。「やるかやらないかなら、やる」「自分は他人が見つけてくれる」「叩かれるのも仕事のうち」「案はいくつかまとめて出す。その中に「絶対無理」とわかっている企画を入れると、やる気があると思われる」など、ビジネスシーンにも応用できる言葉もあって、正直、下手な自己啓発本より参考になる。一方で、ドルヲタ上がりだから盛り上げ方を分かっていて、今のHKT48がなぜ楽しいかが分かる。本人も「テレビより現場が楽しい」と言っている。ファンもアンチも必読。
読了日:8月12日 著者:指原莉乃(HKT48)
暗い越流暗い越流感想
推理作家協会賞受賞作「暗い越流」を含んだ、非常にレベルの高いミステリ短編集。若竹作品のレギュラー探偵・葉村晶も2作品に登場している。しかも「道楽者の金庫」はあの吉祥寺の「TRICK+TRAP」とその店主、戸川さんを思わせて楽しい。どの短編も意外性溢れているが、それだけでなく、ダークな部分も出てて嫌な読後感が残る。とりわけ「幸せの家」のラストのブラックさが最高だった。今年のベスト短編集の一つになるのは間違いないだろう。
読了日:8月9日 著者:若竹七海
日本の軍歌 国民的音楽の歴史 (幻冬舎新書)日本の軍歌 国民的音楽の歴史 (幻冬舎新書)感想
二十代の若い著者が、流行歌としての軍歌の歴史をまとめた本。著名な作家・作曲家も大きく関わっているなど、大衆歌謡の色合いが濃かった時代があったのだと再認識されられる。「ド・ド・ドリフの大爆笑」の元歌「隣組」も軍歌だったし。現代北朝鮮の軍歌の取材もしていて興味深い。
読了日:8月9日 著者:辻田真佐憲
憲法主義:条文には書かれていない本質憲法主義:条文には書かれていない本質感想
日本国憲法を暗唱できるAKB48のなっきー(チームB)が、気鋭の憲法学者とタッグを組んだ憲法入門書。彼女はネタ的に憲法をただ暗記してるだけだと思っていたが、憲法についての知識が深く、正しく理解していることに驚かされる。南野先生が感心する場面も多い。憲法改正論議集団的自衛権の問題など、タイムリーな話題も掘り下げている。アイドルの憲法本と侮ってはいけない。真面目に学べる憲法ガイドとして強くお薦めしたい。
読了日:7月30日 著者:内山奈月,南野森
歴史バトラーつばさ (PHP文芸文庫)歴史バトラーつばさ (PHP文芸文庫)感想
日本文化研究会「和風研」と「SOJ」に属する女子高生たちが研究会の存続を賭けて歴史ディベートする小説。著者が『邪馬台国はどこですか?』でデビュー以降、得意としているジャンル。初期作品のような強烈なインパクトはなく、全体的にぐだぐだ感は否めないが、「松尾芭蕉ゲーム」の説はなるほどと感心した。
読了日:7月30日 著者:鯨統一郎
書店不屈宣言: わたしたちはへこたれない (単行本)書店不屈宣言: わたしたちはへこたれない (単行本)感想
ジュンク堂池袋店の田口さんによる書店論。「昔は良かった」的な思い出話よりも、文芸書は小海さん、コミックは田中さんという風に、現場の後輩・同僚にインタビューする形で書店の現状を浮き彫りにしていく。あの田口さんクラスでも後輩に教えられることがたくさんあるのか、という驚きもある。巻末で提言されている「客注」の重要性は私も常々感じていることだ。客注の流通改革が実現されればいいなあと思う。より深く読み解くためにも、何度か読み返してみたい。
読了日:7月22日 著者:田口久美子
あしたから出版社 (就職しないで生きるには21)あしたから出版社 (就職しないで生きるには21)感想
島田さんが一人で夏葉社という出版社を立ち上げるまでと、現在までに作ってきた本の話。一冊一冊を大切に、一生懸命作っていく姿勢を強く感じる。島田さんご自身の雰囲気、あるいは本書の文章から、自分も出版社やってみたいなあ、私でもできるかもなあ、と一瞬勘違いしてしまうが、多分、この本に書かれているよりもずっと大変で、熱い気持ちを持続させてないと無理だろう。こんな出版人が作った一冊の本に込められた思いを受け止めながら、本に接していこうと思った。
読了日:7月8日 著者:島田潤一郎
紙つなげ!  彼らが本の紙を造っている紙つなげ! 彼らが本の紙を造っている感想
震災で壊滅的被害を受けた日本製紙石巻工場が復活するまでの記録。被害状況の写真は衝撃的だったが、そこからわずか半年で8号機を稼働させたことに頭が下がるとともに、携わった人々の熱い想いには感動せずにはおれない。ただの復興物語ではなく、本の紙の技術にも触れられているのもいい。紙の本に対する有難味を改めて感じた。
読了日:7月7日 著者:佐々涼子
ツイッターとフェイスブックそしてホリエモンの時代は終わった (講談社+α新書)ツイッターとフェイスブックそしてホリエモンの時代は終わった (講談社+α新書)感想
あの孫正義ツイッターで3番目にフォローしたことで、ネット界で超有名人になった「うめけん」さんの本。彼は決して「スーパーIT高校生」だったわけではなく、ネットは「人との出会い」を生むツールだった。ツイッターは「めんどくさい」ものになり、結局は人間関係の構築こそが大事なのだ、という話は経験談を基にしているだけに非常に面白い。「ニューアナログ」の考え方は今後のビジネスのヒントに繋がっている気がする。あの頃の「うめけん」ではなく、これからの「うめけん」の動きに注目したい。
読了日:7月3日 著者:梅崎健理
聲の形(4) (講談社コミックス)聲の形(4) (講談社コミックス)感想
青春恋愛コメディに振れるのかと思いきや、また重いテーマが再浮上する。西宮の母親のエピソードになんともいえない感情が渦巻く。いろんな意味で唸った巻だった。
読了日:6月21日 著者:大今良時
俺物語!! 6 (マーガレットコミックス)俺物語!! 6 (マーガレットコミックス)感想
6巻は猛男の妹誕生編とバレンタイン編。誕生編がめちゃくちゃ感動した。猛男もそうだが、母ちゃんもいいエピソード満載で、こんな家族に憧れてしまう。読者をこれほどまでにほっこりさせる連載漫画も珍しいのではないだろうか。猛男の最大の理解者にして重要人物、砂川のエピソードが展開されるらしい7巻が早くも楽しみである。
読了日:6月16日 著者:アルコ
冷たい太陽 (ミステリー・リーグ)冷たい太陽 (ミステリー・リーグ)感想
ありがちな誘拐もの、と思ったら妙な展開を見せて、ラストで右斜め上をいく衝撃が用意されていた。鯨統一郎作品にしては意外にも正攻法でまともなミステリである(ちょっと失礼な表現ですみませんが、褒めてますよ)。
読了日:6月16日 著者:鯨統一郎
貘の檻貘の檻
読了日:6月14日 著者:道尾秀介
私に似た人私に似た人
読了日:6月14日 著者:貫井徳郎
セブンセブン感想
「ラッキーセブン」や「ユニークゲーム」のようなロジカルゲームに徹した作品も作者らしいけれど、「一男去って……」「木曜の女」のような作品も奇妙な味センスが窺える。「小諸―新鶴343キロの殺意」がミステリ的には面白いが、タイプリープものが好きなので「TLP49」も捨てがたい。いろんな作風が楽しめる短編集だ。ちょいちょい見え隠れするAKB48ネタに一番反応してしまう自分もどうかと思うがw
読了日:6月14日 著者:乾くるみ
虚ろな十字架虚ろな十字架感想
死刑問題をかなり深く掘り下げてくるのかと思ったら意外とそうでもなかった。でも後半は予想外の展開があって驚かされたし、さすが安定のリーダビリティで納得。やはり東野さんは安心して読める。
読了日:6月12日 著者:東野圭吾
僕だけがいない街 (4) (カドカワコミックス・エース)僕だけがいない街 (4) (カドカワコミックス・エース)感想
このあたりになってくると、どう感想を書いてもネタバレになってしまう。だから感想らしい感想はほとんど書けないのだが、一つだけ確かなことがある。「終わったようでいて、まだ何一つ解決していない」ということだ。
読了日:6月3日 著者:三部けい
本屋の雑誌 (別冊本の雑誌17)本屋の雑誌 (別冊本の雑誌17)感想
本の雑誌」に過去掲載された本屋さんネタの記事の再録と、書き下ろしの記事も満載の「本屋さん読本」。あの「青木まりこ現象」特集の再録だけでなく、現在の青木まりこさんに取材してるのが凄い。もちろん全てが読みどころだが、白眉は「WEB本の雑誌」で連載されていた「実録 店長の星」の完全収録。現場レベルの店長の真の苦労が如実に伝わってくる。
読了日:5月31日 著者:
経眼窩式経眼窩式感想
今年の「福ミス」受賞作。島田荘司本格ミステリ論の一つでもある「脳をめぐる謎」がメインテーマで、冒頭の謎の怪奇性、中盤のサスペンスに、恋愛小説的要素まで織り込んで贅沢なほどだ。多少の交通整理をした上で、もっと踏み込んだ展開や謎解きの面白さがあればなお良かっただろう。
読了日:5月31日 著者:植田文博
沸騰! 図書館 100万人が訪れた驚きのハコモノ (ワンテーマ21)沸騰! 図書館 100万人が訪れた驚きのハコモノ (ワンテーマ21)感想
佐賀の武雄市図書館が生まれ変わるまでと、それからの1年間を武雄市長自らがまとめた本。武雄図書館については今でも賛否両論渦巻いているが、話題になり、来館者数が圧倒的に増えたことは事実だ。誕生までの行政の壁を包み隠さず書いているところも凄い。公共図書館の姿、書店と図書館の共存についてなど、この事例から学べることも多そうだ。とにかく、一度は見学してねおかねばならないと思う。
読了日:5月15日 著者:樋渡啓祐
風ヶ丘五十円玉祭りの謎風ヶ丘五十円玉祭りの謎感想
『体育館の殺人』『水族館の殺人』の青崎有吾の第一短編集。表題作は明らかに『五十円玉二十枚の謎』を意識したネタだが、犯人の設定と動機がなかなか絶妙で、期待値を上回る面白さだった。これと「天使たちの残暑見舞い」が特に良かった。まだ作品によってはムラがあるが、若手本格書きとして応援していきたい。
読了日:5月11日 著者:青崎有吾
四月八日のまえがきに (ビッグコミックス)四月八日のまえがきに (ビッグコミックス)感想
これは思わぬ拾い物というか、信頼する漫画の読み手が読んでたのでつられて読んだら大正解。なかなかほっこりする青春SFだった。ラストカットがまたいいね。
読了日:5月11日 著者:松井信介
二歩前を歩く二歩前を歩く感想
超自然的な謎(現象)に、合理的な説明を付けていく連作短編集。いかにも石持さんらしい作風で、こんな形のネタの使い方があるのか、と感心した。いつの間にか車のガソリンが増える謎「ナナカマド」が一番良かった。
読了日:4月26日 著者:石持浅海
人喰いの時代 (ハルキ文庫)人喰いの時代 (ハルキ文庫)感想
前半の連作短編部分では特に「人喰い谷」が素晴らしかった。他も意外性十分な短編揃いだが、ラストにあたる後半「人喰い博覧会」で空気が変わる。時代背景を映した反転の構図には驚くよりも唸る部分が大きかった。「驚愕」の煽りにつられて読むと肩透かしにあうかも知れないが、山田正紀らしい本格ミステリである。
読了日:4月15日 著者:山田正紀
本の雑誌371号本の雑誌371号感想
読書メーターでは雑誌は登録しない主義だが、この号はあえて挙げておきたい。なんたってみんな大好き・東京創元社特集なのだ(みんな、ではないかも?)。非常に楽しませていただいた。戸川さんの社史の話が興味深かった。ご自身の業績ではなく、その前の歴史(二度の倒産など)を紹介している。特集内に、K島氏がいつ出るかとドキドキしていたが、残念ながらご出演ならずであった。
読了日:4月10日 著者:
本屋大賞2014本屋大賞2014感想
本屋大賞は大賞受賞作が中心で語られがちだが、投票された全ての作品に投票者の「熱い思い」が込められている。それら全ての集合体が「本屋大賞」そのものなのだ。ぜひ隅から隅まで読んでいただき、そこから新たな本との出合いを体験して欲しい。
読了日:4月10日 著者:
進撃の巨人(13) (講談社コミックス)