桜庭一樹『ブルースカイ』

ブルースカイ (ハヤカワ文庫 JA)

ブルースカイ (ハヤカワ文庫 JA)

魔女狩り」が横行する中世ドイツで10歳の女の子の前に突如現れた「アンチ・キリスト」、2022年のシンガポールに現れた過去に存在した「少女」と呼ばれたクリーチャー、そして2007年の鹿児島でカッタルい生活を送る少女。ある「事件」をきっかけに、過去や未来に飛ばされた彼女と、そこで出会った人たちとの「繋がり」の物語。SF部分はありきたりなネタなのだろうし、終わり方も、やっぱりこんな感じか、と思わざるを得ないのだが、それぞれの世界でのディテール・描写が相変わらず上手く、引き込まれる。とりわけ第二部での「少女という名のクリーチャー」についての考察は興味深い。『少女には向かない職業』以上に、一般向けを意識して書かれたものだろうと思う。読後に深い余韻も残る。
内容とは無関係だが、少女の名前から某AV女優を想像してはいけない。絶対にいけない。