清涼院流水『ぶらんでぃっしゅ?』

ぶらんでぃっしゅ?

ぶらんでぃっしゅ?

ぼくが眠りから醒めたのは母親の羊水の中。まだ産まれてもいない胎児の意識の中に「ぼく」という別の意識が入り込んでいる。そんなぼくの耳に聞こえたのは「ぶらんてぃっしゅ」という謎のコトバ。「常盤ナイト」として生を受けた後も、「ぼく」は頻繁にあの謎のコトバ「ぶらんでぃっしゅ」を聞くことになる。常盤ナイトの成長と共に、「ぶらんでぃっしゅ」の謎を解く日々が続いた……。
読んだ。読んでしまった。デビュー当時から「コトバ遊び」を駆使しまくっていた清涼院流水が、その「コトバ遊び」だけをクローズアップさせて長編を一冊書いてしまった作品。そういう意味では清涼院にとっても集大成的な作品と言えよう。後には何も残らないが、読むのは確かに楽しい。それが口惜しくもある。トーナメントからは一気だが、バカバカしくなって斜め読みしてしまったのも事実だ。真相部分では、なるほどと思える構造があって、そこは少しだけ感心した。ファンには最高だろうが、ファン以外には「コトバ遊び」そのものについて行けず、挫折してしまうだろう。