津原泰水『ブラバン』
- 作者: 津原泰水
- 出版社/メーカー: バジリコ
- 発売日: 2006/09/20
- メディア: 単行本
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広島出身の著者が、広島の高校と街を舞台に、全編広島弁で描いた青春群像劇。多くの登場人物を完璧に描き分けながら、現在と過去を自在に行き来する。「かつてのブラスバンドを再結成させる」というネタは青春ものとしてはベタでもあるが、大きな盛り上がりがあるわけでもないのに、一人一人の物語が淡々と浮き彫りになっていく。25年という歳の間隔も絶妙で、みんな大きく変わったようでもあるし、そうでもないようでもある。ラストが臭すぎるのが気になるが、こういうラストもいいものだと思う自分もまたいるのだ。読みながら、自分の高校時代を回想し、あの人たちは今ごろどうしているだろうか、と思いを馳せていた。誰もがきっと読了後、誰かに連絡を取りたくなるだろう。