宮部みゆき『名もなき毒』

名もなき毒

名もなき毒

財閥企業で社内報を編集する杉村三郎は、トラブルを起こした女性アシスタントの身上調査のため、私立探偵・北見のもとを訪れる。そこで出会ったのは、連続無差別毒殺事件で祖父を亡くしたという女子高生だった――どこにだって、怖いものや汚いものには遭遇する。それが生きることだ。(帯裏より)
宮部みゆきが3年ぶりに発表した現代長編ミステリ。ラストに至って、テーマが重いことに初めて気付かされると同時に、どこにでも誰にも現実に起こりえる事件を描いていて、怖さすら覚える。語り口が通俗的に思えたのが気になったが、それも含めて著者の計算なのかも知れない。タイトルも意味深だ。