菊池信平編『昭和十二年の「週刊文春」』

昭和十二年の「週刊文春」 (文春新書)

昭和十二年の「週刊文春」 (文春新書)

盧溝橋事件が発生し、日中戦争、果ては第二次世界大戦へと、日本中が戦争に向かって突き進んでいた昭和12年に、もしも「週刊文春」があったら、一体どんな記事が掲載されていただろうか?
内容は架空のものではなく、当時文春が発行していた三面記事風月刊誌「話」を元に、当時の世相が伺える記事を再編成して「週刊文春が採り上げそうな記事」で纏めた本。戦争に関する報道からスクープ、「日独協定をどう思うか?」「東京オリンピック昭和12年に予定されていた方)は開催すべきか?」などの一般アンケート、そして美女図鑑やスキャンダルまで、国内の雰囲気は現代とは全く異なっているだろうが、みんなの興味は昔も今も変わらないなあということがよく分かる。
壇一雄満州の富豪令嬢との結婚か? の噂話(結局ガセネタだったが)や、上原謙は「できちゃった結婚」だったというエピソード(その子供が加山雄三)、そして宇野千代が赤裸々に語る男性遍歴などが特に興味深かった。