石持浅海『心臓と左手』

心臓と左手  座間味くんの推理 (カッパ・ノベルス)

心臓と左手 座間味くんの推理 (カッパ・ノベルス)

『月の扉』事件で活躍した名無しの青年、通称「座間味くん」が、既に終わった事件に新たな視点で意外な真相を見出す短編集。相変わらず切れ味のあるロジックを見せてくれて楽しめる。とりわけ表題作「心臓と左手」は素晴らしい作品だ。「水際で防ぐ」「地下のビール工場」なども逆転の論理が面白い。『月の扉』11年後の設定の「再開」は、あくまでも後日談として読むべきだろう。