桜庭一樹『私の男』

私の男

私の男

すごい。大傑作だ。
今までの桜庭作品も面白く読んできたが、何か「しっくりこないもの」をずっと感じていた。しかし本作は文句なしに素晴らしい。
養父と娘の禁断の関係を、娘の結婚から過去に遡り、奥尻島での震災まで、二人の宿命のルーツを辿るように展開する。全編にわたる緊迫感、今までになくダークな雰囲気、そして淫靡な描写。ついにここまで書いたか、と思ってしまったほどだ。
文春が作ったPOPにある作者のコメント「決死の覚悟!で書きました」の通りの作品だと思う。必読。