恒川光太郎『夜市』

夜市 (角川ホラー文庫)

夜市 (角川ホラー文庫)

日本ホラー小説大賞受賞作にして、直木賞候補にもなったデビュー作を、文庫化にあたってようやく読んだ。なるほど、傑作だ。「夜市」は粗筋から予想できそうな展開を裏切る後半に唸った。「風の古道」も異界の道の持つ幻想的な雰囲気と、その中で繰り広げられる怪異が見事に描かれている。どちらも余分な表現・文章を削ぎ落とした詩的な文体も素晴らしい。