石持浅海『ガーディアン』

ガーディアン (カッパ・ノベルス)

ガーディアン (カッパ・ノベルス)

勅使河原冴の身に突如降りかかる危険や、悪意を持った攻撃に対して、ある時はバリアとなり、またある時は反撃に出る存在「ガーディアン」。その正体は(恐らく)冴の亡くなった父である。亡くなる直前の約束――「お父さんは、死んだ後も、お前を護っている」――を忠実に守ってくれているのだ。
冴にもし、誰かが「殺意」を持ったら、ガーディアンはどうするのか? そして「殺意」を持っていたのは誰だったのか……この設定で「犯人当て本格ミステリ」をやったのが前半「勅使河原冴の章」だ。こちらは意外性もあって面白く読めた。
後半は、「ガーディアン」の守護対象が冴の娘・栗原円に移った「栗原円の章」。中学生の円は友達に付き合って郵便局に寄った。局を出ようとした時、5人の男たち――銀行強盗から逃走中――が突然入ってくる。後半は同じ設定をサスペンスに使ったらどうなるかという話。「ネタ思い付いたから書いてみた」的な感じか。
こちらも最後まで飽きさせないが、今後この少女はずっとガーディアンを背負って生きなければならない(少なくとも結婚するまで)ことを思うと、ちょっと可哀相に思えてくる。物語は決して悲劇的ではないが、後味は悪い。そこまで計算ずくで書かれているのかも知れないけれど。