『幻影城の時代 完全版』&『本格ミステリ・フラッシュバック』

本格ミステリの歴史を振り返る本がほぼ同時に出た。私も購入したので、ここで紹介しておきたい。

幻影城の時代 完全版 (講談社BOX)

幻影城の時代 完全版 (講談社BOX)

幻影城の時代』は同人誌版をベースに、幻影城作家たちの書き下ろし作品を加えて、雑誌「幻影城」2009年1月号がまるごと入った体裁になっている。島崎博ロングインタビューや資料編も充実。今年の秋にあった「島崎博さんをお迎えする会」のレポートまで収録。ちょっと高価だが、「幻影城」に何らかの思い入れがある人は必携だろうし、こういうムーブメントがあったからこそ「新本格」が生まれたのだという事実を若い世代にも知っていただきたい。


本格ミステリ・フラッシュバック (Key library)

本格ミステリ・フラッシュバック (Key library)

本格ミステリ・フラッシュバック』は、松本清張の誕生から、綾辻行人のデビューまでの間、本格ミステリに元気がなかったとされる時代に発表された本格ミステリの傑作・名作を網羅したガイドブック。内田康夫、西村京太郎など、いわゆる「本格」とは無縁に思える人気作家からもピックアップし、隠れた名作まで紹介されている。いつの時代でも本格はあったし、傑作も多かったことを再認識させられる。未読作品も多いので、これをガイドにして拾っていきたい。