東野圭吾作家生活25周年特別企画「東野圭吾公式ガイド」3社分を比べてみた

東野圭吾公式ガイド

今年2011年は、東野圭吾さんの作家生活25周年ということで、3/3に加賀恭一郎シリーズ最新作『麒麟の翼』、6/6にガリレオシリーズ最新作『真夏の方程式』、そして9/9に新シリーズになるのかも知れない作品『マスカレード・ホテル』が発売された。

麒麟の翼

麒麟の翼

真夏の方程式

真夏の方程式

マスカレード・ホテル

マスカレード・ホテル



さらに今年はこの3作の発売に合わせる形で、それぞれの出版社から「東野圭吾公式ガイド」なる無料小冊子が作られた。どれも無料にするのは勿体無いほど充実した内容である。(無料ではあるが、配布方法は書店によって対応が違うので、確認していただきたい)
写真で分かる通り、表紙も全部違う冊子だが、この3社が共同編集しているそうで、内容は概ね同じである。デビュー作『放課後』から、今年初めに出た単行本未収録短編集『あの頃の誰か』までの73作品についての作者本人の解説コメントがメインである(余談だが、この自作解説の大部分は、直木賞受賞直後くらいに出た「野性時代」に収録されたものの再録である。なので、3社だけでなく、角川書店も「陰の共同編集」くらいの立場にはあるように思う)。
自作解説の他は、今年出た3作品の紹介と、「加賀シリーズ」「ガリレオシリーズ」「『白夜行』『幻夜』の世界」の紹介で構成されている。今年の作品についても東野圭吾自身の解説が収録されているが、これは当然、後に出たものの方がより詳しく書かれている。『マスカレード・ホテル』についてのエッセイは、集英社版にしか載っていない。



さらに、3シリーズ紹介の構成も微妙に違っている。

講談社版:「『白夜行』『幻夜』の世界」が2ページのみ。
・文春版:「加賀シリーズ」から「日本橋に至るまで」「私が加賀を調べた」の計2ページがカット/「ガリレオシリーズ」から、「科学トリックはこうしてできた」「映像化されたガリレオ。その幸福な関係」の計ページがカット/「『白夜行』『幻夜』の世界」は6ページで構成。
集英社版:「『白夜行』『幻夜』の世界」は8ページに増量(解説文が補強されている)/「加賀シリーズ」「ガリレオシリーズ」は講談社版と同じ。

というわけで、全体の分量も集英社版が最も多くなっている。講談社版・文春版が全192ページなのに対し、集英社版は200ページである。もし無料配布されていれば、必ずゲットしておいて間違いないものだし、書店によって「『マスカレード・ホテル』購入者特典」のような形になっていたとしても、購入して冊子を貰う価値は充分すぎるほどある。要は、「必ずゲットすべし」ということだ。


気になるのは、「編集後記」の存在。何故か講談社版にのみ、(ハナ)さんによる後記が載っているが、文春版・集英社版には掲載されていない。特に意味はないのかも知れないが、なんとなく気になった。


あと個人的な好みの問題だが、表紙のデザインは文春版がいいと思う。一発で東野圭吾の冊子だと分かるからだ。「ガリレオ色」が出過ぎている感じではあるのだが。


(本エントリは、6月にfacebookノートで書いた『「東野圭吾公式ガイド」講談社版と文春版ずんずん調査』を元に、集英社版の情報を追加したものである)