2014年10月の読書メーターまとめ

ちょっと久しぶりになりましたが、どうしても更新したいネタがあったので、その前に調整更新です。



2014年10月の読書メーター
読んだ本の数:10冊
読んだページ数:3505ページ
ナイス数:102ナイス

フライプレイ!: 監棺館殺人事件 (ミステリー・リーグ)フライプレイ!: 監棺館殺人事件 (ミステリー・リーグ)感想
凡庸なプロセスで愛人を殺してしまったミステリ作家を前にして、「ミステリ作家らしい殺し方にせねば」と勝手に見立てを盛っていく編集者、という冒頭のアイデアだけでも充分面白いのに、そこからどんどん話が転がっていって、読む方もいささか唖然呆然(褒めてます)。メタミステリの楽しさ全開で、三谷幸喜が舞台化したら相当面白くなると思う。あまりにも変な方向に転がりすぎるので、真相など最早どうだっていい、という気持ちになってしまうのも確かなのだが、エンタメとして実に楽しい作品だ。
読了日:10月30日 著者:霞流一
やっぱり本屋はおもしろい! ! (洋泉社MOOK)やっぱり本屋はおもしろい! ! (洋泉社MOOK)感想
本屋を特集した雑誌や本は近年やや飽和気味で、どの特集も同じ書店ばかり採り上げられているものである。本書もそんな類のひとつ、と括るのは簡単だが、切り口が新鮮だったり、初めて紹介される本屋もあって面白かった。執筆陣も豪華なので安心して読める。新たな書店ガイドとしてお薦めだ。
読了日:10月30日 著者:
ずっとあなたが好きでしたずっとあなたが好きでした感想
表題作の「最後の一撃」の衝撃が強すぎて、その後は面白いけれどミステリ的にはムラがあって微妙かな、と思っていたら!! いやさすが、参りました。『葉桜の季節に君を想うということ』の歌野さんらしい短編集。ただ驚かせて終わり、じゃなくて、その後の物語でなんとも言えない感動が残る。個人的には今年のベストミステリ級。こういう作品こそもっと読まれて欲しい。「歌野印」に間違いはないぞ!
読了日:10月21日 著者:歌野晶午
BハナブサへようこそBハナブサへようこそ感想
ビリヤード場に持ち込まれる事件を解決する安楽椅子探偵もの。スタイルは非常にいいし、ビリヤード用語と事件を結び付けるアイデアは面白く、すんなり読める。ただミステリ的には意外性に欠けていたり、ベタなトリックもあって物足りなさも残る。あえて言うなら、「マスワリ」には感心させられた。
読了日:10月21日 著者:内山純
絶叫絶叫感想
これは傑作。冒頭で凄惨な遺体となって見つかる女性の、そこに至るまでの人生をものの見事に描ききっている。どんどん悪い方向へ転がり落ちていくのに、不思議とその女性に感情移入しながら読んでしまうのだ。ダークサイドに落ちる、とはこういうことを言うのだろう。ラストの「仕掛け」の効果については疑問も残るが、ドラマ性の高い犯罪小説として実に読み応えのある作品だ。
読了日:10月19日 著者:葉真中顕
処刑までの十章処刑までの十章感想
行方不明になった男を追う弟と、彼を翻弄する妻との禁断の愛。謎の時刻が書かれた差出人不明の絵葉書。四国で起こる火災とバラバラ死体の関連は……いかにも連城さんらしいロマン性と、風景をいとも簡単にひっくり返す技巧が注ぎ込まれて楽しめるが、着地点やや唐突な気がするのがちょっと消化不良。こういう雰囲気や文章がもう楽しめないのは残念、という、一ファン的な感想も抱いてしまう。
読了日:10月15日 著者:連城三紀彦
サンリオSF文庫総解説サンリオSF文庫総解説感想
今は亡き文庫レーベルの全作品レビュー。私も気がついた時にはもう新刊書店にはなくて、古本屋でやたら高値がついていたことしか知らないのだが、こういう志のあった出版事業の全貌を知れることだけでも意義深いし、今こういう本を出せるのは本の雑誌社しかないだろう。ほんと、いい仕事してます。
読了日:10月7日 著者:
矢澤潤二の微妙な陰謀矢澤潤二の微妙な陰謀感想
トンデモのガジェットを思い切り詰め込んだ、でも結局は何も残るものがない、文字通り微妙な連作短編集。こういう説に夢中になってた頃が懐かしいなあとか思いながら読んだ。息抜きに最適(褒めてます)。
読了日:10月7日 著者:秋梨惟喬
大癋見(おおべしみ)警部の事件簿大癋見(おおべしみ)警部の事件簿感想
本格ミステリという特殊な「村」のルールを徹底的に茶化した、でもその中から本格への愛も(たぶん)感じられる作品集。同趣向の偉大なる先例『名探偵の掟』(東野圭吾)に較べるとどうしても小粒感は否めないが、気軽に読めて笑えるので充分楽しめた。ちゃんと使えば長編が書けそうなアイデアを惜しげもなく投入しているのも好感持てる。
読了日:10月7日 著者:深水黎一郎
日本ミステリー小説史 - 黒岩涙香から松本清張へ (中公新書)日本ミステリー小説史 - 黒岩涙香から松本清張へ (中公新書)感想
ミステリ小説と作家の歴史をまとめているが、ミステリが流行ることになる土台・土壌がいかに作られていったかに重きを置いているのが興味深い。清張・仁木悦子の時代までしか書かれていないので、小説史としてはやや物足りないが、初期ミステリ作家たちのエピソードは非常に面白い。一部作品(有名作品ばかりだが)のネタバレもあるので注意。
読了日:10月7日 著者:堀啓子

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