2015年7月の読書メーター記録

せっかくなので、久々に読書メーターを貼り付けておきます。

2015年7月の読書メーター
読んだ本の数:16冊
読んだページ数:4135ページ
ナイス数:215ナイス

ジャイロスコープ (新潮文庫)ジャイロスコープ (新潮文庫)感想
伊坂幸太郎のノンシリーズ短編集。でもちょっとだけ作品間に繋がりもあったりして、いつもの伊坂世界に浸れる作品集だ。ミステリの企画アンソロジー用に書かれた「浜田青年ホントスカ」、最後のオチが楽しいバスジャック小説「if」、そして書き下ろしの「後ろの声がうるさい」が特に良かった。
読了日:7月31日 著者:伊坂幸太郎
バーナード嬢曰く。 2 (IDコミックス REXコミックス)バーナード嬢曰く。 2 (IDコミックス REXコミックス)感想
本読みにとっては誰もが心当たりのあるようなエピソード満載で今回も楽しく読めた。しかしまさか『六枚のとんかつ』まで登場するとはw なお私は、ジョン・ディクスン・カーも、「ジョン・ディクスン・カーを読んだ男」も、「『ジョン・ディクスン・カーを読んだ男』を読んだ男」も、もちろん読んだことあります。
読了日:7月29日 著者:施川ユウキ
薔薇の輪 (創元推理文庫)薔薇の輪 (創元推理文庫)感想
ブランドの初訳長編。障害を持つ娘との生活を綴った日記で一世を風靡している女優エステラの元にギャングの夫が娘に会わせろとやって来た時、惨劇が……訳が読みやすく一気に読めるし、なによりもブランドなので謎解きの面白さは保証済み。一部予測出来る部分もあるものの、よく考えられたプロットで感心した。タイトルの意味も深い。ブランド入門としてもお薦めできる、本格ミステリの傑作と言えよう。
読了日:7月28日 著者:クリスチアナ・ブランド
アノニマス・コールアノニマス・コール感想
これは思わぬ収穫だった。元警察の朝倉の元に掛かってくる、離婚した妻との娘を誘拐したという電話。誘拐ものとしては古臭いかな、と思っていたら、どんどん話が予想外の方向に広がり、主人公の元夫婦をはじめとした登場人物たちの物語が深みを増していく。最後の最後まで緊迫感が緩まないので、特に後半からラストにかけてはページを繰る手が止まらない。事件の背景の部分に、薬丸さんらしさが出ていると感じた。レベルの高いサスペンス小説である。
読了日:7月25日 著者:薬丸岳
日本人が忘れてはいけない「戦記」  「戦記」でわかる太平洋戦争の真実 (SB新書)日本人が忘れてはいけない「戦記」 「戦記」でわかる太平洋戦争の真実 (SB新書)感想
大和ミュージアム艦長の戸高さんがセレクト・監修した戦記本のガイド。戦争という特殊状況で生まれる文学にも素晴らしい作品が多いことが分かるが、だからといって戦争を肯定するわけにはいかない。戦記を読むことで、戦争の悲劇性・悲しさを知らない世代に認識させる、という意味でも大きな意義があると思う。(読書メーターは仮題で登録されてますが、『「戦記」で読み解くあの戦争の真実』です)
読了日:7月24日 著者:戸高一成
掲載禁止掲載禁止感想
『出版禁止』の長江俊和の短編集。ストーリーテリングが明らかにアップし、ミステリとして面白くなっている。『出版禁止』は難易度の高い作品だったが、こちらはどれも分かり易い。しかも全てに何らかの形での仕掛け(どんでん返し)があり、構えて読んでいても必ず騙される。「人の死を目撃できるバスツアー」というアイデアからして強烈な「原罪SHOW」、乱歩風の小説から思わぬラストが待ち受ける「マンションサイコ」、騙しのテクニックが何重にも仕掛けられた表題作が凄い。あれ、誤植?と思った箇所が伏線だった時の驚きと言ったら。
読了日:7月21日 著者:長江俊和
ゲーム・チェンジャーの競争戦略 ―ルール、相手、土俵を変えるゲーム・チェンジャーの競争戦略 ―ルール、相手、土俵を変える感想
従来の商材を新たな視点から切り込む、新たな価値を見出すなど、柔軟な発想で固定観念を崩していくことこそ成功への道筋だということを、多くの実例を交えながら教えてくれる。特に4番目の類型「プロセス改革型」が参考になった。ブックオフヴィレヴァンの実例が挙げられているが、書店にとっても発想次第でまだなにか出来そうな気がしてならない。発想力を養わなければ。
読了日:7月17日 著者:内田和成
海の本屋のはなし―海文堂書店の記憶と記録海の本屋のはなし―海文堂書店の記憶と記録感想
神戸・海文堂書店の記録。レジ担当やジャンル担当者へのインタビューや、関わった人々(出版人、作家も多い)、そしてもちろんお客様の声まで、様々なエピソードが語られる。閉店に至る経緯を読むと心が痛むが、悔やんだところで復活しないのもまた事実。神戸という街に海文堂書店という本屋があった、ということがこういう形で残るのは、とても意義深いと思う。
読了日:7月14日 著者:平野義昌
BABELBABEL感想
いやあ、こんなすごい才能を知らなかったとは不覚。「復讐代行業者」義波がもたらす5つの逆転劇。全く先が読めないし、どんでん返しの切れ味が鋭くて、どっちがどっちなのか、本当のラストまで信じてはいけない。最終話「バビロン」の展開にちょっと粗さが残るのが惜しいのだが、ここまで楽しませてくれれば十分満足だ。個人的には「グラスタンク」の動機設定が、今までにないタイプのもので非常に感心させられた。
読了日:7月14日 著者:日野草
怪盗グリフィン対ラトウィッジ機関怪盗グリフィン対ラトウィッジ機関感想
ミステリーランド」用に書かれた『怪盗グリフィン、絶体絶命』の続編。ライトな翻訳小説っぽい雰囲気で楽しく読める。特にクライマックスで量子SF的なアイデアが活かされていて感心したが、ややネタが難しいので、SFファン向けかも知れない。
読了日:7月14日 著者:法月綸太郎
止まりだしたら走らない止まりだしたら走らない感想
天才作家が現れた! 新渡戸先輩と都築くんが中央線に乗って東京から高尾に向かう道中と、その沿線に住む人々の群像劇。この物語に内容や意味があるのかと言われたら、「ない」のだけれどw、登場人物たちの会話や思考がことごとく変で、でもそこが面白くて、それ分かる、的な妙な共感も覚えるのだ。この人の文章はいくらでも読めるし、何回読んでも飽きない気がする。ぜひ小説を書き続けて欲しいし、エッセイもどんどん書いていって欲しい。
読了日:7月13日 著者:品田遊
TSUTAYAの謎TSUTAYAの謎感想
TSUTAYA創業者の増田さんへのインタビュー。枚方駅前の一号店から、図書館経営、現在の代官山、湘南、函館、蔦屋家電に至るまで、方針が一貫しているのがわかる。「企画を売ることがCCC」「本を売ってはいけない」「書店が街を創る」など、面白い指摘もある。「蔦屋」の屋号を考えた後で「蔦屋重三郎」の存在を知った、というエピソードが個人的に一番ツボだったけれど。
読了日:7月11日 著者:川島蓉子
君の膵臓をたべたい君の膵臓をたべたい感想
構成が上手い小説だなあと思った。予想外の展開もあり、感動的な演出もよく出来ている。もっとも、私は泣かなかったけれども(ハードルが高くなりすぎていたかも)。
読了日:7月11日 著者:住野よる
僕だけがいない街 (6) (カドカワコミックス・エース)僕だけがいない街 (6) (カドカワコミックス・エース)感想
ついに真相の核が判明してさあどうなるか、の巻だが、いやそんな展開にするとは、予想の右斜め上を行く発想には恐れ入る。これでまた、先が全く読めない漫画になった。もし未読の方がおられるなら、まだ6巻だから今からでも遅くはない、ぜひ1巻から一気読みされることを強くお薦めしたい。
読了日:7月6日 著者:三部けい
俺物語!! 9 (マーガレットコミックス)俺物語!! 9 (マーガレットコミックス)感想
猛男に最大のライバル現る、の巻。大和もまんざらでもなさそうな雰囲気を作るからやきもきしてしまうが、気持ちは猛男、のはずだから安心したいところ。決着は次巻に持ち越しか。
読了日:7月6日 著者:アルコ
紙の動物園 (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)紙の動物園 (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)感想
世間の評判も納得の傑作SF短編集。表題作は感涙必至だし、他にも日本人が主人公だったり漢字が効果的に使われる作品もあって、日本人にも親しみやすい。思った以上にバラエティに富んでいるので、誰もが琴線に触れる作品に必ず出会えるはずだ。個人的には「太平洋横断海底トンネル小史」が良かった。2015年の最重要作品であることは間違いない。SFファンならずとも必読。
読了日:7月3日 著者:ケン・リュウ

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