子どもたちに大人気「サバイバルシリーズ」の歴史編「歴史漫画サバイバルシリーズ」は山田風太郎的な味わいがあるぞ

書店員なら誰もが知っている、あるいは小学生のお子様をお持ちの方ならみなさんご存知なのが、朝日新聞出版の「サバイバル」シリーズです。
ものすごーくざっくりと紹介すると、火山、地震、ウイルス、恐竜世界など、様々なシチュエーションにおかれた主人公たちが、その危機を克服していく様子を通じて、テーマとなった世界の知識が得られるという科学学習漫画のシリーズです。
科学漫画サバイバルシリーズ 公式サイト|シリーズ一覧


元々は韓国で発売され大ヒットしたものの日本語輸入版なわけですが、実は日本でもオリジナルのシリーズが現在刊行中。それが「歴史漫画サバイバル」シリーズです。奈良時代平安時代、戦国時代、江戸時代など、様々な時代にタイムスリップした主人公がその時代について学んでいくシリーズになっています。
http://publications.asahi.com/original/shoseki/sv/sub/rekishi/index.shtml


で、その新刊である『大正時代のサバイバル』をぱらりらしてみたのですが、これが読んでびっくり。

東京タワーのエレベーターに乗っていたら、浅草十二階(凌雲閣)にタイムスリップしていた、という書き出しからしてすげえわくわくするではないですか。そこでまず出会うのは宮沢賢治。手に持っていた「注文の多い料理店」の原稿を見て「それ面白かったです」と言い、宮沢賢治が「まだ冒頭しか書いてないんだけど……」と戸惑うシーンが。
さらに尾崎行雄平塚雷鳥に会ったり、関東大震災に遭遇したりと、大正時代全部メガ盛り、みたいな感じ。極め付きは江戸川乱歩先生の登場です。

「日本で初めて本格的な推理小説を書いたといわれてる人」という解説は結構ざっくりしちゃってると思いますけどね……「推理小説」という言葉は当時から日常的だったっけ?


それはともかく、乱歩先生が暗号の秘密を解く手伝いをしてくれる、というストーリーになっていました。
ことほどさように、大正時代のネタがたくさん盛り込まれていて、しかも主人公がことごとく出会うという、まるで山田風太郎の小説のような世界が広がっていました。大人が読んでもなかなか楽しいです。
機会があればぜひ手に取ってみださいねー。